時給換算 — 月給・年収から時給と残業代の単価を出す
月給・時給・年収を相互に換算します。年間休日と1日の所定労働時間から1か月平均所定労働時間を求め、残業代の計算に使う法定の時間単価と、月給の全額を働く時間で割った暮らしの時給を並べて表示。時間外・休日・深夜の1時間あたりの割増単価も出します。
使い方
月給からは、いちばん知りたい人が多い向きです。月給・年間休日・1日の所定労働時間を入れると、残業代の計算に使う法定の時間単価と、月給の全額を働く時間で割った暮らしの時給を並べて出します。あわせて残業・休日・深夜の1時間あたりの単価も表にします。時給からは求人票の時給を月給と年収に直す向き、年収からは転職の比較で使う向きです。所定労働時間の欄は求人票の「年間休日◯日」「1日8時間」をそのまま入れてください。
「時給に直す」には2つの答えがある
月給を時給に直す計算は、目的によって答えが変わります。残業代の単価には、月給の全額を使いません。労働基準法37条5項と労働基準法施行規則21条は、割増賃金の基礎に算入しない賃金を7種類だけ挙げています。家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つで、これは限定列挙です。役職手当や資格手当は入っていないので、基礎から外せません。
ここで効くのは、名称ではなく実質で判断するという点です。「家族手当」という名前でも、扶養家族の有無や人数に関係なく全員へ一律に配っているなら除外できず、基礎に入ります。住宅手当も同じで、家賃や住宅ローンの額に応じて変わるものだけが除外対象です。除外できる手当が多い人ほど、月給から想像する時給と残業代の単価は開きます。この道具が2つを並べて出すのは、その差が明細を読むときの引っかかりになるからです。
割る数は「月の所定労働時間」ではなく「1年の平均」
分母も素朴ではありません。労働基準法施行規則19条1項4号は、月によって所定労働時間数が違う場合は1年間における1か月平均所定労働時間数で割ると定めています。暦の月は28日から31日まで揺れるので、月給制はほぼ必ずこちらに当たります。計算は次のとおりです。
1か月平均所定労働時間 =(年間の日数 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
年間休日120日で1日8時間なら、(365 − 120)× 8 ÷ 12 = 163.33…時間です。月給25万円のうち通勤手当1万円と家族手当1万5千円が除外できるとすると、基礎となる単価は225,000 ÷ 163.33… = 1,377.55…円になります。ここに割増率を掛けて、時間外1時間なら1,377.55… × 1.25 = 1,721.93…円です。同じ人の暮らしの時給は250,000 ÷ 163.33… = 1,530.61…円で、153円の開きがあります。
1円のずれは、丸める順番から生まれる
円未満の端数は、昭和63年3月14日基発150号により50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる処理が認められています。切り捨てだけを行う処理は、労働者が一方的に損をするため認められません。ここで問題になるのが順番です。上の例で単価を先に丸めると1,378円になり、1,378 × 1.25 = 1,722.5から1,723円が出ます。丸めずに掛けてから丸めると1,722円です。どちらも通達の範囲内で、実際の給与計算ではどちらの実装も動いています。明細と1円合わないときのために、この道具は両者が食い違う場合だけその旨を表示します。
注意点
- この道具が出すのは所定労働時間から見た目安です。実際の給与は変形労働時間制・裁量労働制・固定残業代の有無で変わります。固定残業代がある場合、その分は月給から切り分けて考える必要があります。
- 割増率は法定の下限です。就業規則がそれを上回る率を定めているなら、そちらが適用されます。
- 法定休日の労働に時間外の割増は重ねません。法定休日には所定労働時間の観念がないため、8時間を超えても3割5分のままです(深夜の加算だけは重なります)。
- 月60時間を超える時間外の5割以上という率は、2023年4月1日から中小企業にも適用されています。
- 週の所定労働時間が平均40時間を超える組み合わせを入れると警告を出します。労働基準法32条1項の枠を超えるため、その日数と時間を所定として定めること自体ができません。年間休日105日と1日8時間がちょうど枠の内側で、104日にすると超えます。
- 賞与は「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」なので割増賃金の基礎に入りません。ただし自分の実入りを見るときには効くので、年収から見た時間あたりの額も別に出しています。
- 個別の賃金の判断については、勤務先の就業規則と労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。