なろうのルビに《》は入れられない — エスケープの手立てが用意されていない

小説家になろうのルビは |親文字《ルビ》 と書きます。では、そのルビの側に 《》 そのものを入れたいときは、どう書けばよいのでしょうか。二次創作で魔法名を二重山括弧で囲む表記を採っている人や、記号ごと当て字にしたい人が、ここで行き止まりに当たります。結論から書くと、なろう記法にはその書き方がありません

公式が挙げている記号は四つだけです

公式ヘルプの「ルビの挿入」は、使えない記号として & " < > の四つを挙げています。これらを含む場合は、上限以下の文字数でもルビにならないことがある、という趣旨です。どれもHTMLで特別な意味を持つ記号です。

ここに 《》() は入っていません。入っていないのは「使える」という意味ではなく、書かれていないというだけです。四つ以外を入れたら何が起きるのか、ヘルプは触れていません。ルビ記法そのものを組み立てている記号なのに、それをルビの中へ入れた場合の説明が無い、というのがこの穴の形です。

質問板に残っている実測

公式の質問板に、この穴をそのまま尋ねたスレッドがあります。二〇一七年一月二十九日の「ルビにおける特殊文字のエスケープに関して」で、質問者は の四つをルビの中に含めたい、と書いています。想定していたのは、強敵と書いて別の読みを振る形や、魔法名を二重山括弧で囲む二次創作の表記ルールです。

同じ日のうちに付いた回答が、実測を報告しています。実際に試したところ、|親文字《《ルビ》》 のように二重にして書いてもルビが正常に動作しなかった、という内容です。別の回答者は、HTMLの実体参照を書いてもルビとして機能しなかったと報告しています。

注意すべきなのは、このスレッドに運営の回答が付いていないことです。 答えているのは利用者ばかりで、公式の見解は示されていません。丸括弧の回避策が崩れた件なら、運営へ問い合わせた結果が質問板に書かれていますが、こちらにはそれもありません。つまり十年近く、この挙動は公式に説明されないままです。

二重にしても効かない理由

《《》》 が効かないのには、記法どうしのぶつかりもあります。カクヨムでは二重の山括弧が傍点の記法で、ルビではありません。同じ原稿を両方へ出す書き手から見ると、逃がすつもりで重ねた記号が、片方では傍点になります。

そもそも 《》 の対に入れ子はありません。|炎《《業火》》 を素直に読めば、ルビの終わりは最初に現れた です。残りの は本文へこぼれます。エスケープの印が別に用意されていない以上、書き手の側でできることは無いわけです。

丸括弧のほうは、この記事では判定を保留します。|魔法《(きんき)》 のように山括弧の中へ括弧を入れた形が投稿画面でどう出るかを、こちらでは確かめられませんでした。質問板の回答も丸括弧については実測を示していません。確かめていない挙動を、この記事には書きません。

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地の文で使いたいだけなら、逃がし方はあります

ルビの中ではなく地の文で二重山括弧を使いたい場合は、別のスレッド「ルビを振りたくないです。」に利用者の工夫が残っています。二〇一五年十一月十六日の質問で、漢字の直後に山括弧付きの語を並べたら勝手にルビになってしまう、という相談です。

出た案は二つです。一つは (U+226A)と (U+226B)へ倒す方法で、見た目が近いうえにルビ記法には当たりません。もう一つは縦棒の代わりに半角の空白を挟む方法です。どちらも利用者の工夫であって公式の回避策ではないので、投稿画面で見え方を確かめてから決めてください。

記法を変えれば書けます

行き止まりなのは 《》 記法の側だけです。同じ親文字と読みの対でも、別の記法なら記号はそのまま入ります。

記法ルビに 《》ルビに ]]
なろう・カクヨム書けません書けます
青空文庫式書けません書けます
pixiv小説書けます書けません
HTML・EPUB書けます書けます

pixiv小説の [[rb:親文字 > ルビ]] は、読みの側に山括弧が入っても閉じ場所を間違えません。代わりに ]] が入るとそこで対が切れます。HTMLの <ruby> は記号を実体参照へ逃がせるので、質問者が挙げた四つも、公式が挙げた四つも入ります。どの記号で詰むかは投稿先ごとに違う、というのがここの要点です。

禁止表ではなく往復で確かめる

道具棚のルビ記法の相互変換は、この判定を記号の禁止表ではなく往復で行います。出したいと言われた記法でその対を一組だけ書き、書いたものを自分で読み直し、同じ対に戻るかを見ます。戻らなければ、その記法ではその対を書けません。あわせて、書ける記法が他にあればどれかを添えます。

禁止表にしなかった理由は、この記事のはじめに書いたとおりです。公式が挙げた四つを写しただけの表は、公式が書いていない 《》 を取りこぼします。往復なら、表に無い記号でも同じ網に掛かります。

ルビの書き方そのものが投稿先ごとに違う話はなろう・カクヨム・青空文庫でルビの書き方が違うにあります。本文の丸括弧が勝手にルビへ変わる話は、なろうで丸括弧がルビになる条件で扱いました。

まとめ

最終更新: 2026-09-08

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